EndoTrap よくある質問(FAQ)

EndoTrap®について

Q1:EndoTrap®とは何ですか

A1:
EndoTrap®は高効率でエンドトキシンと結合するファージタンパク質をベースとしたアフィニティークロマトグラフ用担体です。
EndoTrap®のタンパク質はLPS分子のインナーコアの保存領域と結合するのでグラム陰性菌に由来する殆どのエンドトキシンと結合します。EndoTrap®のファージタンパク質のグラム陰性菌由来エンドトキシンに対する結合原理は非常に特異的です。
EndoTrap®は抗体、人工ペプチド、そしてポリミキシンBでもありません。

Q2:EndoTrap®の原理はどのようなものですか。

A2:
EndoTrap®はアフィニティーマトリックスシステムです。
EndoTrap®はバッチモード、クロマトグラフィーモードどちらでも利用できます。

Q3:他社製品と比べてEndoTrap®の主な利点は何ですか。

A3:
EndoTrap®は比類の無い高いタンパク質回収率とエンドトキシン除去率を持っています。
また多様な条件下(pH、イオン強度(塩))で非常に安定した能力を発揮します。さらにポリミキシンBとは違って無害です。
法令目的用に、毒性データ、レギュラトリサポートファイル(RSF)及びLeakageELISA(EndoTrap® HD/blue)が利用できます。

Q4:EndoTrap® red, HDの違いは何ですか。

A4:
EndoTrap®ファミリーには2種類あります。
 ・EndoTrap® red
   -特にカルシウムキレート剤ベースのサンプルに適しています。
 ・EndoTrap® HD
   -EndoTrap® blueの発展型
    バイオ生物製剤製造プロセス等でのラージスケールエンドトキシン除去、サンプル検討用

以下の表にEndoTrap®製品の差異を簡単にまとめてあります。

  EndoTrap® red EndoTrap® HD
LPS結合能力 2,000,000EU/ml 5,000,000EU/ml
再利用 3回 最小10回
pH範囲 6-9 4-10
推奨条件 Caキレート剤 高塩濃度(>150mM NaCl
自動化システム
バイオ製造プロセス
適用対象 タンパク質、ペプチド
抗体
タンパク質、ペプチド
抗体、プラスミド、DNA/RNA
植物抽出液

Q5:どのようにEndoTrap®製品を選択すればいいですか。

A5:
上記の表または“Short Introduction into the EndoTrap®family(英文)”をご参照ください。
精製したサンプルのリスト及び推奨EndoTrap®製品はCustomer Application List(英文)をご参照ください。

Q6:EndoTrap®はどのように使用しますか。

A6:
EndoTrap®はカラムモードでもバッチモードでも利用できます。
一般的にカラムモードはバッチモードに比べて取り扱い易く効率的です。
バッチモードは接触時間を増加させるため少容量のサンプルが導入できます。
しかしながらpH、イオン強度、温度、接触時間等のパラメータは最大のエンドトキシン除去と製品のロスを最小にするため個々のアプリーケーションで最適化する必要があります。

Q7:バッチモードとは何ですか。

A7:
クロマトグラフィーは伝統的に2つのモードに分けられます。
バッチ(不連続)と連続(カラムモード)クロマトグラフィーです。
バッチでのエンドトキシン除去は単純に直接サンプル溶液にゲルを加えます。
3分から20分までの間でテストを行い最適のエンドトキシン除去率が得られる滞留時間を決定します。

Q8:カラムモードとは何ですか。

A8:
カラムモードとはレジンを充填したカラムにサンプルを通してエンドトキシンを除去する方法です。
カラムはパイロジェンフリーのEndoTrap®レジン50%の無菌バッファースラリーを充填して簡単に調製できます。
またEndoTrap® blue/redでは充填済のカラムも選択できます。

Q9:リアルフロースルーシステムはどのようなものですか。

A9:
リアルフロースルーシステム(“ready-to-use”カラム)とは即使用可能なEndTrap充填済カラムのことでEndTrap red/blueで選択できます。

Q10:重力落下方式の代わりにペリスタティックポンプは使用できますか。

A10:
可能ですが、速度が1ml/minを超えないようにして下さい。
速度をより遅くする事で、より効率のよいエンドトキシン除去が行えます。
グラビティーフローでは、約0.5ml/minの流量を保証しています。
EndoTrap®HDではもっと高い流量が可能です。
チューブ類や付属品は、完全なエンドトキシンフリーである事を確認して下さい!

Q11:EndoTrap®は全自動HPLCシステムで利用できますか。

A11:
勿論です。EndoTrap®レジンを空のHPLCカラムに充填して下さい。
(空のHPLCカラムはHyglos社では販売しておりません。)
EndoTrap®カラムを使用されたい場合は接続アダプターをご準備ください。
Hyglos社では販売しておりません。
流量は1ml/minを超えないように注意して下さい。
さもないとゲルベッドが圧縮される恐れがあります(EndoTrap® blue/red)。
EndoTrap® HDではもっと高い流量が可能です。

Q12:EndoTrap®は再生できますか。

A12:
はい。付属の再生用バッファーで可能です。
EndoTrap® redは3回、EndoTrap® HDは10回までエンドトキシン除去効率を失うことなく再使用可能です。
EndoTrap®はバクテリアの発生を抑えるため0.02%のアジ化ナトリウムを加えた再生バッファーで保存してください。

Q13: EndoTrap®の結合能力はどのくらいですか。

A13:
 ・EndoTrap® red:2×106 EU/ml(1EU=100 pg LPS)
 ・EndoTrap® HD:5×106 EU/ml(1EU=100 pg LPS)

Q14:どのようにクリーニングステップの回数を計算するのですか(EndTrap® red)

A14:
開始時のエンドトキシン濃度が非常に高い場合や非常に低い濃度にしたい場合はEndoTrap®に連続して数回アプライする必要があります(EndoTrap® redは3回、EndoTrap® HDは10回まで)。
1回毎に理論的にはエンドトキシン濃度は2対数減少します(EndoTrap® HDでは3対数減少)。
ただし最大のエンドトキシン除去と最小のサンプルロスを得るためには、pH、イオン強度、温度、滞留時間などのパラメータを最適にする必要があります。さらに除去効率はサンプル特にタンパク質の性質で変化します。

開始時のエンドトキシン濃度(EU)により目的のLPS濃度(EU)を達成するためクリーニングステップをある程度の回数行う必要があります。
最良の結果を得るため、そのために必要なパッケージサイズを計算するためにはアプライする全LPS量はレジンの最大除去能力の30~50%程度にしてください。

バッファー中のLPS除去:
  EndoTrap®の繰り返し利用により0.005 EU/mlまで下げることが可能です。

タンパク質のLPS除去:
  
EndoTrap®の繰り返し利用により0.1 EU/mlまで下げることが可能です。
  生物学系ですのでEndoTrap®の効率は低エンドトキシン濃度域では若干減少します。
  0.1 EU/mlでは除去効率は精製ステップあたり約70%です。

DNA中のLPS除去:
  
EndoTrap®の繰り返し利用により0.01 EU/mlまで下げることが可能です。

3回のクリーニングステップ(それぞれのクリーニングステップは再生ステップで終了です)を行なっても希望するエンドトキシンレベルに到達できないときはテクニカルサポートにご連絡下さい。

Q15:サンプルは(タンパク質、ペプチド、抗体、プラスミドDNA)いつ溶出してきますか。

A15:
1mlのEndoTrap®カラムの空容積は0.3~0.5mlですから、サンプルはカラムの空容積を通過した後にすぐ溶出してきます。
サンプルとカラム充填剤との間に何らかの相互作用がある場合は溶出が遅れますので平衡化バッファーで洗浄してフラクションを集めてください。これらのフラクションに目的物が入っています。

Q16:流量(フロースルーレート)が低い場合はどうすればいいですか。

A16:
グラビティーフロー(重力落下)では、約0.5ml/minの流速量を保証しています。
通常、1mlのカラムを10mlの溶液が通過するには20分の時間が必要とされます。
流速量がこれよりも大幅に遅くなるような場合には、カラム内に気泡がないかどうかを確認して下さい。
輸送中に、カラム内に気泡が生じる事があります。
EndoTrap®カラムから気泡を取り除くにはいくつかの方法があります。
その1つは、カラムを‐1,200rpmで5分間、遠心する事です。
または、発熱性物質フリーのピペットで上部からフリット(frit)を少し押しつけてみる事です。
もう一つの気泡を除く方法は、まずカラムの出口にチューブをつけて5mlのシリンジをつなぎます。
カラム上部が開放され、カラム内にバッファーがあることを確認します。
シリンジを吸引することで気泡を除くことができます。

Q17:EndoTrap®は、4℃で使用できますか。

A17:
はい。EndoTrap®は4℃でも室温の時と同様に機能します。 

Q18:EndoTrap®は、尿素のようなカオトロピック物質と一緒に使用できますか。

A18:
はい。pH7、2Mの尿素までエンドトキシン除去効率の低下なしに使用できます。

Q19:EndoTrap®を阻害する物質としてはどのようなものがありますか。

A19:
EndoTrap® HDはEDTAやEGTA、HEDTA、NTA、クエン酸などのCaキレート剤、硫酸アンモニウム、SDSなどの界面活性剤によって阻害されます。
EndoTrap® redは250mM以上の塩濃度、GdnHCl、硫酸アンモニウム、SDSなどの界面活性剤によって阻害されます。

Q20:ジチオトレイトール(DTT)のような還元剤はEndoTrap®のエンドトキシン除去を妨害しませんか。

A20:
EndoTrap® redは妨害されますが、EndoTrap® HDはDTTと使用できます(10mMまで)。
使用前にDTTでプレ洗浄して下さい。

Q21:高イオン強度でEndoTrap®は使用可能ですか。

A21:
はじめにEndoTrap®製品を2種類に区別することが重要です。
EndoTrap® HDはエンドトキシン除去効率の低下なく1M NaClまで使用できます。
EndoTrap® redは高イオン強度には適せず250mM NaClまでになります(100mM NaCl以下が最適です)。

Q22:EndoTrap®樹脂はオートクレーブ、消毒や殺菌できますか。

A22:
EndoTrap®製品はオートクレーブできませんが30%エタノールで洗浄できます。
ただし水酸化ナトリウムによる消毒には欠点があります。
リガンドが破壊されますのでNaOHによる消毒は避けてください。

Q23:EndoTrap®へアプライすることのできる物質の種類や濃度/量は

A23:
一般的に、カラムを通過する物質であれば、あらゆる種類のものをアプライする事が出来ます。
タンパク質、ペプチド、抗体などの分子量による制限はありません。
EndoTrap®は、pI5~9の等電点範囲のタンパク質からエンドトキシンを除去出来ます。
EndoTrap® HDはDNA(プラスミドDNA、RNAでテスト)や植物抽出物にも有効です。
約50mg/ml 濃度までのタンパク質をアプライする事が出来ます。
ただし、1-10mg/mlのワーキング濃度とすることをお勧めします。
量はカラム容積の1-10倍が最適です。
1mlのEndoTrap®カラムにはエンドトキシン除去効率を失うことなく50mlまでアプライできます(1カラム容積“ready-to-use“= 1ml)。
EndoTrap® HDについては最大LPSロード量は2.5 x 106 EU/mlレジンを推奨します。

Q24:EndoTrap®はどのような発熱性物質(パイロジェン)とも結合しますか。

A24:
いいえ。発熱性物質には刺激活性を有する様々な分子やポリマーが含まれ限定されないからです。
しかし、そのほとんどははバクテリアのエンドトキシンに由来しています。
EndoTrap®がエンドトキシン(LPS:リポ多糖)分子の内部コアにある保存領域と結合する事から、様々な種類のグラム陰性菌由来のエンドトキシンと結合出来るのです。

Q25:EndoTrap®は、酵母由来の発熱性物質(パイロジェン)と結合しますか。

A25:
いいえ。酵母の細胞壁はグラム陰性バクテリアの外膜とは完全に異なるからです。
しかし、あるバクテリア種は実験用の水の中で発生する事があり、この事が後工程のエンドトキシンのコンタミネーションの主な要因です。
EndoTrap®によって、ほとんどの水中へのコンタミネーションに起因するLPSが効率よく識別され、除去されます。

Q26:プロテアーゼを含む系での注意点はありますか。

A26:
プロテアーゼはLPS除去の際にEndoTrap®リガンドを破壊する恐れがあります。
プロテアーゼの活性が下がる条件、例えば4℃または可能であればバッファー組成の変更、でのクリーニングステップを実行してください。
  例:ペプシンを含む系であればペプシンは酸性のプロテアーゼなのでpH6以上でのエンドトキシン除去を推奨します。