酵素測定法(比色法)
卵、卵製品などの食品、エッグリキュール、麺類、パン製品、脂肪、オイル、肉製品、化粧品などの製品中のコレステロールの定量。
測定項目(コレステロール)
コレステロールは動物ステロイドで一番重要なもので、高等動物の細胞膜の重要な成分であり、また全てのステロイドホルモンの前駆物質です。
コレステロールは全ての動物脂肪で見られます。卵黄の重要な成分であり、その内容量は相対的に一定であるため、卵黄を含むパン製品、麺類、リキュール等の食品の卵量の測定にしばしば用いられます。
コレステロールは食品の形で部分的に摂取できる栄養学的に重要なものです。
原理(文献1)
特異性
コレステロールオキシダーゼはコレステロールと、3位の炭素原子の水酸基がベータ部位にあるステロール(ラノステロールを除く)を酸化します。それゆえ、植物を含む試料の分析では、いくつかのフィトステロールも測定されます。
The International Union for Pure and Applied Chemistry (IUPAC)は動物脂肪の分析ではコレステロールとして、植物脂肪試料の分析ではβ-シトステロールとして分析結果を計算するように勧めています(2)。
感度と測定限界
測定感度は試料量(v)が0.400mlの時の限界0.005吸光度に基づいています。7㎎/l(試料溶液)のコレステロール濃度に相当します。
20㎎/lの測定限界は、最大試料量(v)が0.400mlの時の吸光度変化量0.030に由来します。
直線性
測定の直線性は8μgコレステロール/アッセイ(20㎎コレステロール/l試料溶液:v=0.400ml)から160μgコレステロール/アッセイ(0.4gコレステロール/l試料溶液:v=0.400ml)の間にあります。
正確性
一つの試料を二重測定した場合、0.010から0.020の吸光度の違いが起きます。標準偏差値は測定範囲内で1~2%です。
全卵粉の測定(文献3):
x=1665㎎/100g: r=111㎎/100g S(r)=39㎎/100g
R=172㎎/100g S(R)=61㎎/100g
干渉物/誤差の原因
安定化剤として市販されているメタノリック水酸化カリウム溶液はコレステロールオキシダーゼを阻害します。
キット内容
- リン酸アンモニウムバッファー.pH7.0 2.6M メタノール約220000U カタラーゼ
- 50mM アセチルアセトン. 3M メタノール
- 約12U Cho-OD
- 測定のコントロール用コレステロール標準液
(結果の計算には測定の必要はありません。)
試料調製の一般的情報
コレステロールは、試料マトリックスから溶出する必要があります。また、そのエステルは試料調製時にアルカリで加水分解する必要があります。
遊離コレステロールを測定する場合は、試料をイソプロパノールに溶解もしくは抽出します。不溶成分はろ過もしくは遠心により除去します。
低濃度のコレステロールを含む試科は水酸化カリウム溶液を還流させながら煮沸し、その後エーテル/石油エーテルで抽出します。
脂肪酸は冷所で酸化することにより除去します。ヤシ油等の植物油の着色は活性炭で除去できます。
参考文献
- Beutler, H.-O. & Michal, G. (1976) Eine Eigehalts- bestimmung für die Routineanalytik: Enzym. Bestimmung von Cholesterin, Getreide, Mehl, Brot 30, 116-118.
- International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC), Applied Chemistry Division, Commission on Oils, Fats and Derivatives: Standard Methods for the Analysis of Oils, Fats and Derivatives, 7th ed. (1987) pp. 170-173, Blackwell Scientific Publications Oxford London Edinburgh Boston Palo Alto Melbourne.
- Amtliche Sammlung von Untersuchungsverfahren nach §35 LMBG; Untersuchung von Lebensmitteln: Bestimmung des Cholesteringehaltes in Eiern und Eiprodukten (L 05.00-7/Dez. 1992).
- Schweizer. Lebensmittelbuch, Kapitel 32 (Spirituosen)/ 11: Bestimmung des Eigehaltes, enzymatisch: Kapitel 22 (Diätetische Lebensmittel und Speziallebensmittel), Provisorische Methode der Subkommission 5 (1990).
- Shen, Ch.S.J., Chen, I.S. & Sheppard, A.J. (1982) Enzymatic determination of cholesterol in egg yolk, J.Ass.Off.Anal.Chem. 65, 1222-1224.
- Karkalas, J., Donald, A.E. & Clegg, K.M. (1982) Cholesterol content of poultry meat and cheese determined by enzymatic and gas-liquid chromato- graphy methods. J.Food Technol. 17, 281-283.
- Lücker, E. & Bülte, M. (1997) Verfahren zum Nachweis von im Hinblick auf die bovine spongiforme Enzephalo- pathie (BSE) unerwünschten Zutaten in Fleisch- Erzeugnissen, 1. Enzymatische Cholestrerin- bestimmung als Schnellverfahren zur Erfassung von Hirngewebe, Fleischwirtschaft 77, 836-840
※ドイツおよびスイスの食品法に記載されています。
また国際純正・応用化学連合(IUPAC)により推奨
されています。