高分解融解曲線解析法による複雑な塩基配列中の遺伝子変異検出の評価
Human Mutation 2009, 30, 876
For the Focus Section on HRMA Technology
Received 16 June 2008; accepted revised manuscript 10 September 2008. Published online 11 March 2009 Wiley InterScience (www.interscience.wiley.com). D01 10.1002/ humu.humu.20919
最近まで、変異解析はゲル電気泳動法に依るところが多く、時間がかかり実験系をデザインするのが容易でなかった。そのため、アッセイの感度と精度を低下させることなく、簡便に短時間でデータが得られるゲル電気泳動に依らない方法は、特に臨床診断の現場で重要となる。本報では、ゲル電気泳動法ではない最近使われ始めた高分解融解曲線解析(HRM)について評価した。
HRMはクローズドチューブシステムで、飽和結合色素を添加してDNA増幅を行った後、温度上昇に伴う二本鎖DNAの変性を蛍光強度の変化としてモニターする。8つの遺伝子の10のアンプリコン、SERPINA1、CXCR7、MBL、VDR、NKX3A、NPY、TP53、HRASについてLightScanner™とLC Green® Plus DNA結合色素を用いた系(Idaho Technology, Salt Lake City, UT, USA)とHRMマスターミックスを用いたLightCycler® 480(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN, USA)の2機種を使って解析した。
DNAの変異(点突然変位および多型)は、HRMと同じく二本鎖DNAの融解特性の違いによって識別するDGGEを用いて予め同定しておいた。用いたフラグメントは変異の型と塩基配列の複雑さによって選択した。この中には、複数種の変異をもつフラグメント、相互位置の異なる変異をもつフラグメント、一つもしくは複数の変異をもつGC含量の多いフラグメントを含めた。
HRMによる複雑なDNA配列領域を解析する際の現状での限界を示すとともに、HRMのみで遺伝子診断を行うことに注意を喚起する。

